日本の職場文化:外国人社員が知っておきたいこと
日本の職場といっても、会社によって雰囲気はさまざまです。東京のスタートアップと歴史ある製造業では、まったく違うことも珍しくありません。それでも、多くの職場に共通する習慣を知っておくと、最初の数か月がずっと楽になります。日本で働く外国人の方はもちろん、外国人社員を迎える側の方にも、説明のヒントとして役立つ内容です。
はじめに
日本の職場文化は、会社、業界、規模、さらにはチームによっても大きく異なります。外資系企業や新しい会社は比較的フラットなことが多く、リモートワークの普及で変わった習慣もたくさんあります。ここで紹介するのは「よくある傾向」であって、決まりではありません。まずは周りの同僚のやり方をよく見て、迷ったら遠慮なく聞いてみましょう。
報連相:こまめに共有する
新入社員が最初の週に教わることの多い言葉が「報連相(ほうれんそう)」です。3つの習慣を組み合わせたものです。
- 報告:仕事の進み具合や結果を上司に伝えること。特に、仕事が終わったときや問題が起きたときが大切です。
- 連絡:予定の変更や取引先からの伝言など、周りが知っておくべき事実を共有すること。
- 相談:自分で決めてしまう前に、意見やアドバイスを求めること。
実際には、母国の職場より頻繁に状況を共有し、問題は早めに伝えることを意味します。悪い知らせでも、早く伝えれば多くの場合は歓迎されますが、あとから発覚すると大きな問題になりがちです。「今、少しよろしいでしょうか。」の一言から始めれば、たいていの相談はスムーズに切り出せます。
会議と合意づくり
多くの会社では、物事は合意を重ねて決まります。正式な会議にかける前に、関係者一人ひとりに事前に話を通しておくことがよくあります。これが「根回し」です。もともとは、木を植え替える前に根を整える園芸の言葉です。
そのため、会議は議論の場というより、決定を確認する場になることもあります。大きな会議で初めて新しいアイデアを出すと、話が進まないこともあるでしょう。提案を通したいときは、事前に主要な人に相談しておくのが効果的です。また、費用などの決裁に「稟議」という書面での承認手続きを使う会社もあります。合意までに時間はかかりますが、いったん決まれば全員が同じ方向を向いて進みやすいのも特徴です。
時間を守る
- 始業時間には準備を整えておく。出社や会議には、数分前に着いているのが一般的です。
- 遅れそうなときはすぐに連絡する。数分の遅れでも連絡するのが基本です。電車が遅れたときは上司にメッセージを送りましょう。鉄道会社が出す「遅延証明書」の提出を求める職場もあります。
- 締め切りは重く受け止められる。間に合わなさそうなときは、報連相の一環として早めに伝えます。
上下関係と呼び方
多くの欧米の職場に比べると、上下関係が見えやすい傾向があります。同僚同士は名字に「さん」をつけて呼ぶのが一般的で、上司を「部長」などの役職名で呼ぶこともあります。年齢に関係なく、先に入社した「先輩」と、あとから入社した「後輩」の関係も大切にされます。
会議では役職の高い人が最初や最後に発言することが多く、さらに上の人に話を持っていく前に、まず直属の上司に伝えることを期待するチームも多いです。一方で、あえてフラットな組織をつくっている会社もあるので、自分のチームのやり方を確かめましょう。
仕事のあとの付き合い
「飲み会」は、関係づくりのよくある機会です。歓迎会、送別会、忘年会などが代表的です。
- 参加は基本的に自由です。近年はより気軽な雰囲気になっています。ただし、自分の歓迎会には参加するのがおすすめです。
- お酒を飲む必要はありません。ソフトドリンクを頼むのはごく普通のことです。最初の「乾杯」にだけ加わりましょう。
- 小さな気配りは意外と見られています。周りの人に飲み物を注ぐ、翌日に幹事やごちそうしてくれた人にお礼を言う、といったことです。
毎日役立つあいさつ
いくつかの決まった言葉が、職場の人間関係を円滑にします。出社したら「おはようございます」、同僚とすれ違ったら「お疲れ様です」、帰るときは「お先に失礼します」。外国人の同僚には、こうした言葉の使いどころを最初に伝えてあげると喜ばれます。
見えないルールを身につける
職場文化の多くは、どこにも書かれていません。いちばん難しいのは、その場で何と言えばいいかがわからないことです。遅れの報告、相談の切り出し方、誘いの丁寧な断り方など、実際の場面を練習しておくと大きな助けになります。Hanabuddiesの講師はこうした場面のロールプレイをお手伝いしています。また、外国人社員を迎える企業向けの研修も行っています。