ビザ・留学・海外就職のための日本の書類翻訳ガイド
ビザ申請、海外の大学への出願、海外での就職などで日本の書類の翻訳が必要になったら、まず提出先に、どんな翻訳が必要なのかを正確に確認しましょう。「認証翻訳」や「公的な翻訳」の意味は国によって異なり、特定の資格をもつ翻訳者の翻訳しか受け付けない機関もあります。条件がわかったら、名前がパスポートの表記と一致しているか、和暦が正しく西暦に直されているか、レイアウトが原本と対応しているか、そして時間に余裕があるかを確認します。この記事では、そのポイントを紹介します。
翻訳が必要になることが多い書類
| 書類 | 英語での呼び方の例 | 主な提出先・用途 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) | Family register | 配偶者ビザや家族ビザ、海外での結婚手続き、出生や親族関係の証明。 |
| 住民票 | Certificate of residence | 住所や世帯構成の証明。 |
| 卒業証明書・学位記・成績証明書 | Degree certificate, transcript | 大学・大学院への出願、就労ビザ、学歴の審査。 |
| 在職証明書・退職証明書 | Employment certificate | 就労ビザ、職歴の審査、海外での就職活動。 |
| 運転免許証 | Driving licence | 海外での免許の切り替えや運転。 |
翻訳を依頼する前に、発行元が英語版を出してくれないか確認してみましょう。多くの大学では、申請すれば英文の卒業証明書や成績証明書を発行してもらえますし、英文の在職証明書を書いてくれる会社もあります。それで足りるかどうかは、提出先に確認してください。運転免許証については、切り替え先の国の免許の窓口に何が必要かを確認しましょう。国によっては、現地の日本大使館・総領事館で手続きのサポートを受けられることもあります。
「認証翻訳」「公的な翻訳」とは
世界共通の基準はありません。何が認められるかは、国と、書類を受け取る機関によって異なります。いくつか例を挙げます。
- オーストラリア:政府機関では、翻訳者・通訳者の認定機関であるNAATIの認定を受けた翻訳者による翻訳を求められることがよくあります。
- ヨーロッパの一部の国:フランスやスペインなどには、裁判所や国が任命する宣誓翻訳者の制度があり、公的機関はその翻訳しか受け付けないことがあります。
- アメリカ・イギリス:翻訳が正確であること、翻訳する能力があることを翻訳者が署名で証明した文書(氏名と連絡先つき)を添えれば受け付けられることが多いですが、機関や大学によってはそれ以上を求められることもあります。
規則は変わりますし、部署によっても違います。これらはあくまで目安として、必ず最新の条件を提出先に確認してください。できれば書面で、次の点を聞いておくと安心です。
- 翻訳者に特定の資格が必要か、それとも語学力のある人の署名で足りるか。
- 現地で翻訳する必要があるか、日本で作った翻訳でもよいか。
- 原本、認証つきのコピー、スキャンのどれが必要か。
- 原本にアポスティーユなどの証明が必要か。これは翻訳とは別の手続きで、日本の書類そのものに対して行います。
- 発行から一定期間内の書類である必要があるか。
名前はパスポートの表記に合わせる
申請が差し戻される原因として特に多いのが名前の表記です。日本の名前のローマ字表記は一つではありません。「大野」はOno、Ohno、Oonoのいずれにもなりえますし、「純一」もJunichiとJun’ichiがあります。原則は簡単で、パスポートのつづりとまったく同じにすること。姓と名の順番も、提出先の書き方に合わせて統一しましょう。
漢字の名前は読み方が複数あることも多いため、翻訳者が推測で訳すべきではありません。書類に出てくる人全員のパスポートのコピー、少なくとも正しいローマ字表記の一覧を翻訳者に渡してください。住所の地名にも同じ注意が必要です。
和暦を西暦に直す
日本の公的な書類の多くは和暦で書かれていますが、海外の担当者はまず和暦を知りません。翻訳では西暦に直し、必要に応じて元の表記をかっこ書きで残します。
| 元号 | 始まった日 | 西暦への換算 |
|---|---|---|
| 令和 | 2019年5月1日 | 年数+2018(令和6年=2024年) |
| 平成 | 1989年1月8日 | 年数+1988(平成10年=1998年) |
| 昭和 | 1926年12月25日 | 年数+1925(昭和50年=1975年) |
「元年」は1年として換算します。元号が変わった年は特に注意が必要です。2019年は4月30日までが平成31年、5月1日からが令和元年なので、月によって表記が変わります。また、提出先の日付の書き方も確認しましょう。03/04という表記は、イギリスでは4月3日、アメリカでは3月4日と読まれます。月を英単語で書けば、この問題は避けられます。
レイアウトは原本と対応させる
翻訳を確認する担当者は、原本と見比べながら読みます。次の点を押さえた翻訳だと、確認がスムーズです。
- 原本と同じ順番・構成にして、各項目を日本語の箇所と照らし合わせられるようにする。
- 見出し、注記、手書きのメモも含めて、すべて訳す。
- 印鑑、スタンプ、署名は省かずに、「[Official seal of the mayor of …]」のように記載する。
- 読み取れない部分は推測せず、「[illegible]」と記載する。
特に戸籍は情報が詰まっていて独特の略記も多いため、分量のわりに時間がかかります。
時間に余裕をもつ
翻訳そのものは、実はいちばん早く終わる部分であることが多いです。海外から郵送で戸籍や住民票を請求すると、手元に届くまでに数週間かかることがありますし、アポスティーユや特定の資格をもつ翻訳者への依頼が必要なら、さらに時間がかかります。申請の締め切りから逆算して、早めに動き始めましょう。
困ったときは
翻訳の準備全般については翻訳を依頼する前のチェックリストと日英翻訳者の選び方の記事もご覧ください。日本に留学する方や日本で就職する方向けには、日本留学や日本で仕事を見つける方法の記事で、手続き全体の流れを紹介しています。
なお、Hanabuddiesでは認証翻訳(公的な認定・宣誓を受けた翻訳者による翻訳)は承っておりません。学校の課題やレポート、ご自身の参考用など、認証が不要な通常の翻訳であればお手伝いできます。どんな書類を、どこに提出するのかをお知らせいただければ、対応できるかどうか、または代わりにどんな翻訳者を探すとよいかをご案内します。