ビジネス会議で通訳者と上手に仕事をする方法
優れた通訳者がいれば、日本の取引先との会議も、自分の言語での会議とほとんど変わらないほどスムーズに進みます。反対に、準備不足の通訳や、通訳を介した話し方に慣れていない話し手がいると、双方が混乱し、商談が止まってしまうこともあります。その差の大部分は、事前の準備といくつかの話し方の習慣で決まります。この記事では、日英の通訳者と上手に仕事をする方法を紹介します。海外の取引先との会議で通訳を手配する日本企業の方にも、通訳を介して話す海外の方にも役立つ内容です。
逐次通訳か、同時通訳か
| 種類 | しくみ | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 逐次通訳 | 話し手が数文話して区切り、通訳者が訳します。会議の時間はおよそ2倍かかります。 | 交渉、少人数の会議、現場視察など、正確さが重要な場面。 |
| 同時通訳 | 話し手と同時に通訳者が訳します。ふつうはヘッドセットや、オンラインなら別の音声チャンネルを使います。負担が大きいため、2人以上で交代するのが一般的です。 | カンファレンス、プレゼンテーション、大人数の会議。 |
| ウィスパリング | 通訳者が1、2人の聞き手の隣に座り、小声で訳します。 | 相手側の言語で行われる会議に、1、2人が参加するとき。 |
日本の取引先とのビジネス会議では、逐次通訳が一般的です。その分の時間を見込んで議題を組みましょう。
自分の側の通訳者を用意する
相手側が通訳者を用意してくれたり、バイリンガルの社員が通訳を申し出てくれたりすることもあります。和やかな初回の顔合わせならそれでも問題ありませんが、重要な会議では自分の側の通訳者を用意することを検討しましょう。相手側の通訳者は、どれほどプロであっても、相手側のために働いています。自分の側の通訳者なら、会議のあとに場の雰囲気や、言葉にされずに示されたことについても説明してくれます。実はそこに本当のメッセージがあることも多いのです。その理由は日本企業との交渉の記事で解説しています。
事前に通訳者に情報を共有する
通訳者は言葉のプロですが、あなたのビジネスのことまでは知りません。できれば数日前に、次のものを送りましょう。
- 議題と会議の目的。会議で何を決めたいのか。
- スライドや資料、扱う数字。
- 用語集。製品名、専門用語、略語、出席者の名前と役職。相手側が自社製品を特定の日本語で呼んでいる場合は、それも入れておきます。
- 背景。これまでの取引の経緯や、デリケートな論点。
会議の前に短い打ち合わせができれば、さらに安心です。通訳者が質問でき、話し手の話し方にも慣れてもらえます。資料を先に翻訳する必要がある場合は、翻訳を依頼する前のチェックリストをご覧ください。
通訳を介した話し方
- 通訳者ではなく、相手に向かって話す。話しかける相手を見て、一人称で話しましょう。「3月に納品できます」であって、「3月に納品できると伝えてください」ではありません。
- 短く区切って話す。2、3文話したら区切ります。長い話は正確に訳すのが難しくなります。
- 文を最後まで言い切る。日本語は動詞が文末に来るため、英語から訳す場合も日本語から訳す場合も、通訳者は文全体を聞いてから訳し始めることがあります。主語や結論があいまいな文は特に訳しにくくなります。
- 慣用句、スポーツの比喩、言葉遊びのジョークは避ける。ユーモアは伝わることもありますが、シンプルでその場に合ったものがいちばんです。
- 数字に注意する。日本語は大きな数を「万」の単位で数えるため、百万単位の数字は間違いが起きやすいポイントです。重要な数字は、スライドや書面でも示しましょう。
- 返事を急がない。聞き取れたと思っても、通訳者が訳し終えるまで待ってから答えましょう。
オンライン会議では
ビデオ会議での通訳には、音質、タイムラグ、発言の重なりといった難しさが加わります。よいマイクを使い、話していないときはミュートにしてもらい、通訳者の声をメインの通話で流すのか、プラットフォームが対応していれば別のチャンネルを使うのかを事前に決めておきましょう。スライドは画面共有して、全員が同じページを見られるようにします。具体的な準備の手順は日本とのビデオ通話でのオンライン通訳、通訳者をまだ探している方は日英通訳者の依頼のしかたをご覧ください。
休憩と、明確なまとめ
通訳は頭をとても使う仕事です。長い会議では定期的に休憩をとり、終日の同時通訳ならチームでの手配を考えましょう。会議の最後には、合意した内容と次のステップを口頭でまとめ、両方の言語で書面にして送ります。誤解を、まだ簡単に直せるうちに見つけるいちばんの方法です。会議の進め方全般については、日本の取引先との会議の進め方の記事をご覧ください。
少しだけでも相手の言葉を
優れた通訳者がいても、会議の最初と最後に相手の言葉で一言あいさつしたり、お礼を言ったりするだけで、信頼関係づくりに大きな効果があります。海外から日本の取引先と会う方なら、会議で使う日本語のあいさつを数回のレッスンで練習しておくだけで、第一印象がぐっとよくなります。